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TSMCの熊本工場が日本の半導体事情を変える存在に

TSMCの熊本工場が日本の半導体事情を変える存在に

世界最大の半導体メーカーであるTSMCが、日本で初めての工場を建設し、話題を呼んでいます。

熊本県菊陽町にあるこの工場は、地域経済や日本の半導体産業に大きな影響を与えることになりそうです。

 

工場内を覗いてみる

工場は、セミコンテクノパークに隣接する菊陽町の工場団地内に建設されています。

敷地面積は約21.3ヘクタールで、東京ドーム4.5個分の広さです。

また、ソニー半導体製造子会社であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの熊本テクノロジーセンター、および日本半導体製造株式会社(通称JASMO)に隣接しています。

 

工場の投資規模は約1兆1,000億円で、日本政府は経済保障の観点から最大4,760億円を投資する予定です。

工場は、最寄り駅の原水駅から3kmほど離れた場所からも見えるほど大規模なものであるそうです。

 

なぜ熊本なのか?

TSMC熊本県への進出を決めたのは戦略的なものです。

半導体の製造には、材料メーカーや製造装置の開発・管理企業が必要です。

半導体関連企業が集中する九州は、シリコンアイランドと呼ばれることもあります。

 

TSMCの最大顧客であるアップルは、iPhoneのカメラ用イメージセンサーソニーから調達しています。

ソニーイメージセンサー用のロジック半導体TSMCの熊本工場から調達する予定。

半導体バイスメーカーの東京エレクトロン、産業ガス大手の日本エア・リキッドも車で数分の距離にあるようです。

 

 

経済効果と課題

県内総生産が6兆円を超える熊本にTSMCが投資することで、大きな経済波及効果が期待されます。

県内の経済効果は10年後に4兆円を超えると試算されています。

 

しかし、工場建設には課題もあります。

菊陽町は土地のほとんどが農業振興地域に指定されており、農地を守るために開発が厳しく制限されています。

また、半導体関連企業が集積することで、地下水位が低下することも懸念されているのです。

 

今後の計画

TSMCは、日本国内に第2工場を建設することも検討しています。第2工場は第1工場よりも高度な技術を必要とし、2020年代後半に稼働を開始する予定です。

TSMCの新工場は、2025年時点で約1,700人の従業員を抱える予定です。約700名の新卒者を中途採用し、残りはTSMCソニーグループからの出向者を予定しています。

 

TSMCの子会社「JASM」とは?JASMを分かり易く要約!

概要

JASMは「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社」の略で、専業ファウンドリビジネスモデルの先駆者であるTaiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(TSMC)が過半数を出資して熊本県に設立した子会社です。ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社と株式会社デンソーが少数株主として参画しています。

 

製造技術

JASMは22/28nmプロセスおよび12/16nm FinFETプロセス技術による製造を担当します。

工場: 2022年4月に建設が開始され、2024年末までに生産開始を目指しています。このファウンドリでは、約1,700人の先端技術に通じた人材を雇用する予定で、月間生産能力は55,000枚(300mmウェーハ)となる見込みです。

 

目的

JASMは市場のスペシャリティ技術へのニーズに応えるとともに、日本の優れた半導体人材を活用し、グローバルな半導体エコシステムの成長に貢献することを目指しています。

 

熊本の位置付け

新工場「JASM」は九州の熊本県に設立され、12/16nm と22/28nm のチップを製造します。熊本は九州の中心に位置し、1990年代まで世界的な半導体の拠点としてその地位を確立していました。九州には現在、日本の半導体企業の3分の1以上が集まっており、自動車部品メーカーも多く存在します。

 

熊本の魅力

熊本は過去と現在が融合した魅力的な街で、日本三名城のひとつや偉大な小説家、夏目漱石とのゆかりがあります。東京からは飛行機で約1時間半の距離にあり、新幹線を使えば、鹿児島や福岡などの主要都市まで短時間でアクセスできます。

tsmccareers.com

 

まとめ

TSMCの熊本進出は、日本の半導体産業における重要なマイルストーンとなる。

2024年の出荷開始を目指すこの工場は、地元経済を活性化させるだけでなく、世界の半導体市場における日本のポジションを強化することになるでしょう。